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車両製造工場における不適切な完成検査の実施について 再発防止策の実施状況に関する報告

当社は、2017年11月17日付の「型式指定に関する業務等の改善についてのご報告」における当社の再発防止策につき、2018年6月28日に、その実施状況に関するご報告を国土交通省に提出致しました。
その後、完成検査における抜取検査工程である、排出ガス・燃費測定において、測定データの書換えや試験条件の書換え・逸脱と言った不適切行為が社内調査の結果発覚し、当社は、7月9日に国土交通省へ発覚した事実及び第三者による原因究明を中心とした調査を行う旨報告致しました。同日付で国土交通省から「完成検査における不適切な取扱いへの対応等について」が発出され、判明した事案及び他に完成検査に係る不適切事案がないかの調査を行い、再発防止策を策定の上、報告するよう求められています。
不適切な抜取検査における再発防止策は、昨年の問題発覚以降に実施を進めてきた不適切な完成検査に係る再発防止策と同様な内容や課題が一部含まれます。これら不適切な抜取検査を踏まえて見直した対策や、昨年来実施してきた再発防止策の振り返りについては、当社の9月26日付「完成検査における不適切な取扱いへの対応等についてのご報告」の中で詳細を述べており、本報告においては6月28日付の対策実施状況に対する進捗を中心にご報告致します。

当社の再発防止策 全11項、58件の現時点における進捗内訳は次のとおりです。

A)2018年6月報告時点で実施済みの対策: 計 51件
B)2018年6月報告以降、現在迄に実施済みの対策: 計  2件
C)計画立案済み、着手中の対策: 計 3件
D)計画立案中の対策: 計 2件

 

再発防止策の実施状況は、2017年11月以降、下表のように推移しています。

 

2017年11月

2018年3月

2018年6月

2018年9月

実施済み

10

34

51

53

計画立案済・着手中

43

15

3

3

計画立案中

7

4

2

合計

53

56

58

58

 

また、58件の再発防止策のうち、完成検査を規格に準じて確実に実施するための対策は全て実施済みとなりました。現時点で着手中、及び計画立案中の対策には完成検査における実施・管理の負荷軽減や円滑化、コンプライアンスの徹底等の対策があり、未完了の対策は確実に実施すべく、継続して取り組んでいきます。

なお、本件の再発防止策一覧については、不適切な抜取検査に係る9月26日付「完成検査における不適切な取扱いへの対応等についてのご報告」の再発防止策と同様な課題や共通する対策があるため、同報告の添付別紙にまとめております。各対策に記した大括弧の数字は同報告の添付別紙の通し番号と一致しています。

1. 完成検査ラインの構成及びオペレーションの修正

A) 2018年6月報告時点で実施済みの対策

  • 予備印の廃棄、完成検査印の管理強化  [1]
  • 完成検査実施場所の区画化、セキュリティゲートの設置及び警備員による入出場管理による立入制限、完成検査員の識別化  [2]
  • 顔認証による完成検査工程の入出場管理の実施  [3]

B) 2018年6月報告以降、現在迄に実施済みの対策

  • ※該当なし

C) 計画立案済み、着手中の対策

  • 検査員の負担軽減等を目的とした最適な完成検査ラインの設計・導入  [4]
    • - 完成検査をより円滑に実施・管理することを目的に、完成検査員を識別し、履歴管理ができる新技術の導入を開始しました。
    • - 具体的には、完成検査工程・完成検査員・検査方法等をデータ化し、検査業務従事者が完成検査を規格に準じて実施していることをリアルタイムに把握可能とする、より厳格なトレーサビリティシステムの構築及び導入を開始しています。このシステムでは、タブレット端末を活用することで、生体認証による検査端末へのログインや、検査端末画面上のガイダンス等による検査作業支援、音声による検査結果入力等が行えるようになります。
    • - 上記システムについては、実機検証、システムの仕様決定を経て、7月にパイロット工場に設置し、生産する車種毎に適合確認を行うためのトライアルを実施しています。量産車両の検査を行う完成検査ラインに導入し、量産に向けたトライアルを11月に開始できる見通しです。

D) 計画立案中の対策

  • ※該当なし

2. 完成検査員の任命基準の見直し・教育基準の強化

A) 2018年6月報告時点で実施済みの対策

  • 任命前の検査員が完成検査を実施してはならないことを明文化  [5]
  • 完成検査員の任命条件は追浜訓練ラインでの訓練終了とし、任命後の習熟レベルをILUで管理する  [6]
  • 教育内容・期間・試験方法を資格別に厳密かつ運用しやすい内容に改善  [7]
  • 過去の教育・試験の瑕疵対策として、完成検査員に対する5時間の再教育及び理解度テストの実施 [8]
  • 任命における試験の公正性を確保し、基準書に織り込む  [10]

B) 2018年6月報告以降、現在迄に実施済みの対策

  • 完成検査員に対する知識教育の実施  [9]
    • - 2017年11月の生産再開に当たり、資格を有する完成検査員全員を対象に5時間の再教育を実施し、理解度試験の合格を以て、完成検査を実施するために必要な知識の習得ができていることを確認しています。それに加え、同対象者に対し、知識を充実させるための教育を改めて実施しています。
    • - 当社は、[7] で見直した自動車の構造・性能の教育に基づき、完成検査員に対する知識教育を5月から実施し、9月末までに対象者全員の受講を完了しました。

C) 計画立案済み、着手中の対策

D) 計画立案中の対策

  • ※C、D共に該当なし

3. 完成検査員人員管理の改善

A) 2018年6月報告時点で実施済みの対策

  • 工場別資格保有者の人員マップ(分類)管理の導入  [11]
  • 正しい標準作業書に基づく検査時間と時間当たり生産台数による所要人員の正確な把握  [12]
  • 年度生産計画に基づく要員計画、要員育成計画の策定、育成計画の予算化  [13]
  • 完成検査員人員管理の全ての改善を織り込んだ「完成検査員人員管理に関する基準書」の策定  [14]
  • 完成検査員の資格を有する期間従業員の正規従業員化促進  [15]
  • 完成検査員の増員に向けた取り組み  [16]
    • - 前回の報告において、2019年6月までに完成検査ラインに隣接する走行クリニックや商品化ライン等にも完成検査員の拡大配置を図り、これらのラインに従事する完成検査員を計855名まで増員する計画と報告しましたが、改めて実態に合わせて教育及び増員計画を見直し、2019年6月までに、806名まで増員することとしました。
    • - 増員計画については、今後も定期的に見直しを行い、市場の生産需要に応じつつ、現場に無理が生じない完成検査員育成ができるよう、引き続き注視していきます。

B) 2018年6月報告以降、現在迄に実施済みの対策

C) 計画立案済み、着手中の対策

D) 計画立案中の対策

  • ※B、C、D共に該当なし

4. 完成検査の運用・管理の改善

A) 2018年6月報告時点で実施済みの対策

  • 完成検査工程を届出内容と一致させる  [17]
  • 工場長を管理責任者とした完成検査における生涯管理運用プロセスの策定・導入  [18]
  • 工程設計は生涯管理責任者の管理下において、現場の完成検査員も参画して行い、トライアルの実施を義務付ける [19]
  • 工程変更に関する届出内容はTCSXの確認を義務付け  [20]
  • 完成検査工程が届出どおりの状態に保たれていることを観察する基準書の策定 [21]
  • 当面の措置として、現場の作業観察をシフト毎に2回実施  [22]
  • TCSX及び外部監査機関による監査を週1回実施  [23]
  • 自主モニタリングの基準策定  [24]

B) 2018年6月報告以降、現在迄に実施済みの対策

C) 計画立案済み、着手中の対策

D) 計画立案中の対策

  • ※B、C、D共に該当なし

5. 完成検査に関する理解を正すための方策

A) 2018年6月報告時点で実施済みの対策

  • 「完成検査に関する法令・基準書に対する教育」の再構築  [25]
  • 完成検査員を含む品質保証業務全従業員を対象とした教育及び理解度試験の実施 [26]
  • 車両工場全従業員を対象とした完成検査制度の重要性の周知徹底  [27]
  • 全社関連管理職・全役員を対象とした教育の実施  [28]
  • 上記[26]~[28]の教育については、2018年度以降も継続して年一回実施します。また、2018年以降の異動者に対しては、異動の度に、今回の教育用に作成したビデオ教材(またはe-Learning教材)に基づき、各工場において、「完成検査に関する法令・基準書に対する教育」を実施します。
  • 国土交通省による監査時において、適切な受監対応を確認するため、当社法務室もしくはコンプライアンス室が立ち会うこととする  [29]

B) 2018年6月報告以降、現在迄に実施済みの対策

C) 計画立案済み、着手中の対策

D) 計画立案中の対策

  • ※B、C、D共に該当なし

6. ユーザー目線に立ったもの造り

A) 2018年6月報告時点で実施済みの対策

  • 全完成検査員を対象としたCS-Mind教育の実施  [30]

B) 2018年6月報告以降、現在迄に実施済みの対策

C) 計画立案済み、着手中の対策

D) 計画立案中の対策

  • ※B、C、D共に該当なし

7. 監査の改善

A) 2018年6月報告時点で実施済みの対策

  • 三層構造の監査体制の構築  [31]
  • 網羅性・一貫性を担保した監査手続の導入と完成検査関連法令の遵守を徹底 【第2層: TCSXの対策】  [32]
  • 監査計画に基づいた継続的監査の実施【第2層の対策】  [33]
  • 監査評価手続と方法の明確な定義【第3層の対策】  [34]
  • 正確性や網羅性、監査対象の信頼性を判断するための監査手続の導入【第3層の対策】  [35]
  • リスクに基づいた監査の実施【第3層の対策】  [36]
  • 監査発見事項に係る根本要因分析の実施【第3層の対策】  [37]
  • 監査文書の保管・保存【第3層: 内部監査室の対策】  [38]
  • 事前通知なしでの監査実施【第3層の対策】  [39]
  • 三層構造の監査体制の整合確認【第3層の対策】  [40]

B) 2018年6月報告以降、現在迄に実施済みの対策

C) 計画立案済み、着手中の対策

D) 計画立案中の対策

  • ※B、C、D共に該当なし

8. 現場と管理者層の距離を縮めるための施策

A)2018年6月報告時点で実施済みの対策

  • CCO(チーフ・コンペティティブ・オフィサー)と各工場完成検査係長の定期的な会議の実施 [41]
  • CCO及び生産担当副社長と係長会・工長会代表者との意見交換会の継続 [42]
  • 日本の全工場を統括する常務執行役員を配置 [44]
  • 日本工場統括担当常務執行役員による工場運営の健全度モニター [45]
    • - 日本生産事業本部の下に、国内工場における法令遵守状況の総点検を推進する部署があり、この総点検活動の一環で不適切な抜取検査の発覚に至りました。

B)2018年6月報告以降、現在迄に実施済みの対策<br/ >※該当なし

C)計画立案済み、着手中の対策

  • 工場に関わる経営の重要な意思決定への係長層の参画を可能とするプロセスの策定 [43]
    • - 現場の運営に影響を及ぼし得る重要な意思決定として生産計画台数の策定・一定台数以上の増減、人員調整、及び完成検査に関する基準書の策定・改訂に係長層を参画させるための検討を進めています。
    • - 人員調整については、既報のとおり、2018年4月より新しいプロセスを運用しています。
    • - 生産計画策定については、プロセス上の課題を解決し、9月より改善プロセスのトライアルを実施します。2018年末を目処にプロセスを固め、2019年度の計画策定から新プロセスを適用する予定です。
    • - 生産計画策定の他に、重要な意思決定として予算策定及び投資計画があり、これらについても生産計画策定の検討と同様な日程で改善を進めており、2019年度の計画策定から新プロセスを適用する予定です。

D)計画立案中の対策
※該当なし

 

9. 組織の強化

A)2018年6月報告時点で実施済みの対策

  • 品質保証課長を1名増員して2名体制とし、増員の1名は係長から登用する [46]
  • 品質保証係長を1名増員して2名体制とする [47]

B)2018年6月報告以降、現在迄に実施済みの対策

C)計画立案済み、着手中の対策

D)計画立案中の対策
※B、C、D共に該当なし

 

10. 対策の実施及び進捗フォロー体制について

A)2018年6月報告時点で実施済みの対策

  • CCOを対策実施総責任者とし、各関連役員が担当・統括する体制を構築 [48]
  • 経営会議への月次報告 [49]
  • 内部統制委員会での定例報告事項化 [50]
  • 国土交通省への進捗報告 [51]
  • 従業員サーベイで対策の効果・定着を測定 [52]

B)2018年6月報告以降、現在迄に実施済みの対策

C)計画立案済み、着手中の対策
※B、C共に該当なし

D)計画立案中の対策

  • APWの整備 [55] (2018年3月迄に追加した対策)
  • 工場における職場環境改善 [56] (2018年3月迄に追加した対策)

B)2018年6月報告以降、現在迄に実施済みの対策

  • 新中期経営計画の基盤の一つに「コンプライアンス・法令遵守」を位置付ける [53]
    • - 新中期経営計画の事業基盤の一つとして「日産ウェイの進化/強化 - CFT、V-upを管理ツールの基盤とし、高いレベルの倫理、透明性、コンプライアンスを確保」することを明記しました(日産ウェイ: 5つの心構えと5つの行動で構成される当社従業員の行動指針、CFT: クロスファンクショナルチーム、V-up: 日産グループ・グローバル共通の課題解決ツール)。
    • - 2018年5月に、CFT活動を2チーム立ち上げ、各々、日産ウェイの強化及びCFT・V-upの改善について検討を継続しています。CFT・V-upの改善や現場での活用については、2018年末までに現場も含めた各職場における実行に取り組むチームを追加し、2018年度末までに実行していく予定です。

11. 2017年11月以降に追加した対策

A)2018年6月報告時点で実施済みの対策

  • APWの整備 [55] (2018年3月迄に追加した対策)
  • 工場における職場環境改善 [56] (2018年3月迄に追加した対策)

B)2018年6月報告以降、現在迄に実施済みの対策

  • 風化防止の取り組み [58] (2018年3月以降に追加した対策)
    • - 本件以外の57件の対策は、実施した状態を維持し、随時必要な改善を行っていくことで、完成検査の不適切な取扱いを風化させないようにします。
    • - これに加え、生産部門における風化防止の取り組みについて、2018年度の活動計画を策定しました。具体的には、部門全員参加の「コンプライアンスDay」イベントを中心に、イベント当日に生産ラインを一時停止して行う総点検活動やその他小集団活動等を実施していきます。この計画を推進することで、風通しの良い職場を作り、自浄作用が働く組織に変わっていくことを目指しています。また、コンプライアンスに関するポスター・標語の募集・掲示による意識啓発も進めています。

C)計画立案済み、着手中の対策

  • 法令遵守状況の確認 [57] (2018年3月以降に追加した対策)
    • - 当社における業務に関連する全ての法令につき、各部署・職場が、最新の法令とその注意すべき点を正しく解釈し、自主点検を確実に実施するために必要となる基準や体制の整備を進めています。
    • - 外部専門家も交え、法令の一覧作成から始まり、リスクエリアの特定、職場での実態調査等を経て、法令遵守状況を確認し、短期・中長期の是正・改善策を実施することで、遵守した状態の維持を強化していきます。
    • - 関連する法令は非常に多岐にわたることから、複数のグループに分け、優先順位を定めて段階的に実行する計画を策定し、実施に当たっています。2018年度末までに総点検を完了する予定です。

D)計画立案中の対策

  • 権限基準ルールの整備 [54] (2018年3月迄に追加した対策)
    • - 工場が関わる経営の重要な意思決定事項に現場の実状を正確に反映させるべく、意思決定手順のルールを権限基準表(DOA)に制定することを検討しています。
    • - 現在、重要な経営上の意思決定事項を再精査し、特に現場の実状を反映すべきと考えられるものを抽出しています。抽出された意思決定事項について、意思決定手順をルール化し、2018年12月までに、DOAに反映する予定です。
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