平成１２年１０月１６日
日産自動車、第34回東京モーターショー－商用車－(2000年)出展概要を発表
日産自動車は、第34回東京モーターショー－商用車－(2000年)に、小型商用車バン｢ADバン｣、ITSタクシー「エルグランド ジャンボタクシー （ITSコンセプトカー）」など18台の参考出品車／市販車を展示するとともに、将来のディーゼル技術「ZD30DDTi（コモンレール方式）エンジン+排出ガス浄化システム」、ビジネスカーサポートシステム「ナビモスリンク」他同社の最新技術を紹介する。
今回のモーターショーでは、「THE BEST SOLUTION PARTNER NISSAN」をテーマに掲げ、ユーティリティ性に優れた魅力あふれる18台の商用車ラインナップや環境にやさしいパワートレイン技術などを紹介し、お客様にとってベストな1台を提案し、提供していきたいと考えている。また、「環境」、「安全」、「ITS」などの各エリアにお客様のご相談に親身になってお応えできる説明員を配置し対応する。
さらに、会場には、運輸省が公表した平成11年度自動車アセスメント事業のフルラップ前面 衝突試験結果で、運転席・助手席共に最も高い安全評価である「AAA」を獲得した「ADバンのフルラップ衝突社内実験車」を展示し、またルノーとの資本提携以降、日産リバイバルプランの発表、新生日産としての国内外での様々な取り組みを映像で紹介したメッセージエリアを設けるなど、充実した内容を目指している。
 ADバン |
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 エルグランド ジャンボタクシー （ITSコンセプトカー） |
 セドリック セダン「福祉タクシー」 （後席回転シート付車） |
| 出展物概要 |
＜主な車両展示＞
●ADバン（ガソリンエンジン車、LPG車を車両展示。CNGVはカットボディを展示。）
新感覚のスタイリッシュなデザインと優れたドライバーズコンフォート。積載性、経済性、走行性、環境／安全性能をはじめ、実用性を徹底的に追求したSクラスコマーシャルバン。
１．多様なユニットバリエーションと新世代M&Sクラスプラットフォームの採用
- 低燃費と快適な走りを両立したNEO「QG15DE」ガソリンエンジン、低 NOX、低CO2排出特性等を持つ「QG18DEN（CNG燃料噴射方式）」エンジン、クリーンでかつ経済的な代替燃料「LPG」車など多様なユニットバリエーションを持っている。
- 伝達効率を高めた「E-Flowトルクコンバーター」を採用し、滑らかな変速とレスポンス、優れた低燃費を実現したオートマチックトランスミッションE-ATxを搭載している。
- 新世代M&Sクラスプラットフォームをベースに、バンに求められる性能確保のための部品の採用などを行った上で、コンピューター解析による効果 的な車体補強を実施し、車体剛性を高め、フラットでしっかりとした乗り心地を実現している。
２． 機能的で上質なインテリア
- インストルメントパネル上面からセンターコンソールボックスまでスムーズに傾斜したデザインにより上質感を演出している。また、収納ポケットを多数設置し利便性を高めている。
- フロントドア及びリヤドアに成形ドアトリムを、またフロントシート地にファブリックを採用するなど、上質なインテリアを実現している。
- ステアリング／シフトノブ／パーキングブレーキレバーを抗菌仕様とした他、プライバシーガラスをオプション設定とするなど、室内を快適にする様々なインナーグリーン関連装備を採用している。
- ワンタッチ作動時に万一腕などが挟まれた場合、自動的に反転下降する挟み込み防止機構を運転席側のパワーウインドウに採用している。
３． 運転のしやすさと優れた積載性
- センタークラスター内の各種スイッチを機能的で操作性に優れたレイアウトとしている。
- 前席ヒップポイントを適切な高さとし、快適な視界や運転姿勢を確保するとともに、乗降性を向上させている。後席についてもニールームを広くとるなど優れた居住性を実現している。
- 4.6mの最小回転半径（2WDガソリン車）など高い小回り性能を確保している。
- リヤホイール上面を平面化するなどホイールハウスの出っ張りを少なくし、多くの荷物を効率良く積める使い勝手の良い荷室を実現している。
４． 環境と安全への配慮
（１）環境への配慮
ガソリン車については、新開発の触媒の採用などにより、CO（一酸化炭素）、HC（炭化水素）、NOX（窒素酸化物）の排出量 を大幅に削減。平成12年10月から施行の平成12年排出ガス規制適合はもとより、規制値よりさらに NOX、HCを25％低減している。また、七都県市低公害車指定制度および京阪神6府県市低NOX車指定制度等の排出ガス基準や、国の「物品等の環境負荷の少な い仕様、材質等に関する推奨リスト」のガイドラインをクリアしている。
- CNGVは、4月から運輸省が開始した低排出ガス車認定制度で、「超－低排出ガス車」として認定されているだけでなく、小型バンではトップクラスの航続距離（約275km ＊１）を確保し、ガソリン車と同等の動力性能、運転性能を発揮している。
- 優れた経済性と、NOX 等の排出量が少ないクリーンなLPG車を参考出品している。
＊１：社内試験値。
（２）高い安全性
- 「ゾーンボディ」の採用により、運輸省が自動車事故対策センターの協力を得て実施した平成11年度自動車アセスメント事業のフルラップ前面 衝突試験結果で、運転席・助手席共に最も高い安全評価である「AAA」を獲得している。
●エルグランド ジャンボタクシー （ITSコンセプトカー）
コンパスリンク＊２を中心としたITS技術に将来のサービスも加え、真の「もてなし」を提供するITSタクシー。さらに、専用ワイドボディ、専用ハイルーフが生み出す広大な室内空間、全域にわたりパワフルでゆとりを感じられる走りも実現。
＊２ ：カーナビゲーションと携帯電話を活用した情報提供サービス。詳細は＜主な技術展示＞に記載。
１．お客様に満足いただくためのITSアイテム
（１）将来のコンパスリンクによるお客様へのサービス
- 日本語に不慣れなお客様にもご利用いただけるよう、外国語での応対が出来るオペレーターを配 置、お客様の母国語で対応する。
- 交通情報等を加味した上で、目的地までの所要時間を優先した経路、経済性を優先した経路など、
お客様の要望にあわせた最適経路情報を提供する。 - お客様の嗜好にあわせた旅行ガイドサービスなど、フレキシビリティのある情報提供を行う。
- 最新の価格、期間限定内容を盛り込んだレストラン情報など、鮮度の高い情報を提供する。
（２）ITSアイテムによるお客様へのもてなしの提供
- キャビネットにビデオ＆音声入力端子を装備、ビデオカメラを接続することで、旅先や仕事の出先で撮影した映像をその場で再生することが可能である。
- DVDムービーやテレビなどを迫力の大画面で楽しめるよう、15.2インチモニターを後席に装備している。
- さらにDVDソースを臨場感溢れるサウンドで楽しめるよう、5.1ｃｈサラウンドシステムを採用している。
２．長時間運転しても疲れないコックピット
- メーター、スイッチ類を視認性、操作性に優れたデザイン、レイアウトとし、長時間運転しても疲れず快適なドライビングを堪能できるコックピットとしている。
- 10.4インチの大型前席モニターを採用、見やすく操作しやすい装備によりナビゲーション情報などを的確に提供する。
３．しっかりと収納できるラゲッジスペース
- ゴルフバックなどの背の高い荷物もしっかりと収納できる余裕のあるラゲッジスペースを確保している。
４．くつろぎの空間
- 専用ワイドボディと専用ハイルーフの採用に加え、アームレスト付セパレートシート、シートリクライングなどによりくつろぎの空間を実現している。
５．パワフルでゆとりある気持ち良い走り
- VG33Eエンジンはバルブタイミングの適正化などにより、全域にわたりパワフルでゆとりの走りを実現。低・中速トルクを太くし発進加速と追い越し加速が良く、気持ちの良い走りが堪能できる。
●セドリック セダン「福祉タクシー」（後席回転シート付車）
高齢の方、障害をお持ちの方などクルマへの乗り降りに不自由を感じている方でもご利用しやすい福祉タクシー。
１．乗り降りのしやすさ
- 後席シート左側が90度回転する構造としている。
- ワンアクションで回転と同時にシートが車体の外側に出てくるため、車いすから移乗する際、 お客様の負担が大幅に軽減される。
- 操作は全てボタンひとつの電動操作のため、タクシー乗務員の負担も大幅に軽減している。
２．車いすを簡単に収納できる「車いす収納装置」
- 軽い力で重さ15kgまでの車いすを簡単に収納できる「車いす収納装置（電動式）」を装備している。
- 車いすの収納時に車体に傷がつきにくくなる「バンパーガード」も装備している。
＜主な技術展示＞
● NEO Di「ZD30DDTi（コモンレール式）」直噴ディーゼルエンジン＋排出ガス浄化システム
- NEO Di「ZD30DDTi」直噴ディーゼルエンジンは4バルブDOHC化や可変ノズルターボの採用で、優れたレスポンスと高出力を実現した3.0リッター直噴ディーゼルエンジン。平成10年度 省エネ大賞 省エネルギーセンター会長賞を受賞している。（主催（財）省エネルギーセンター）
- 直噴化と日産独自の新燃焼方式「M-Fire燃焼」により、CO2 排出量の低減を図るとともに、従来の燃焼方式では達成できなかった優れた静粛性とNOX及び黒煙の抑制を両立している。
- さらに新開発の「コモンレール燃料噴射システム」の搭載による燃料噴射の高圧化と高精度化、「クールドEGR」システムを用いた「M-Fire燃焼」効果 の更なる向上を行い、一段とエンジン排出ガスのクリーン化を進めている。
- この優れた排出ガス性能を持つ「ZD30DDTi（コモンレール式）」エンジンを極限までクリーンにする後処理の触媒システムも新開発した。
PMをトラップするのみならず、コートした触媒で定期的にPMを酸化反応させてトラップを再生し、長期にわたる使用を可能とした「触媒付自己再生型DPF（Diesel Particulate Filter）」
に、NOX の浄化性能を向上させた専用の「NOX 触媒」を組み合わせることにより、今後のディーゼル排気規制強化をも見据えた新世代の環境エンジンとしている。 - コンパクトな形状の一体型容器に収め、トラック系のみならず、乗用車へも搭載が可能なシステムとしている。
● コンパスリンク
カーナビゲーションと携帯電話を活用した情報提供サービス。携帯電話の通話エリア内であれば、24時間いつでも対応可能。ワンタッチで情報センターのオペレーターを呼び出し口頭で要望を伝えるだけで、オペレーターが検索、ナビ操作を代行するとともに、各種情報をナビゲーションに送信する。(口頭での読み上げも可能。) また、事前登録した情報をワンタッチあるいは定期的に自動配信するオートコンパスリンクサービスもある。コンパスリンクの機能は一般 ユーザーばかりではなく、ビジネスユーザーにとっても様々なメリットがある。
１．オペレーターサービス（平成10年9月よりサービスを開始）
- ドライバーの口頭による要望に基づく曖昧検索
- ナビゲーション上への目的地設定及びナビのルート探索機能遠隔起動
- タウン情報（レストラン、駐車場など）
- レジャー情報（ゴルフ、スキー場など）
- ビジネス情報（ニュース、天気予報、電子メール）
- 電話番号の検索及び電話接続
- 最寄りの販売会社やJAFへの電話接続
２．オートコンパスリンクサービス（平成11年7月よりサービスを開始）
- 交通情報、天気情報、ニュースなど定期的に利用する情報を事前登録し、オペレーターを介さずにワンタッチあるいは定期的に自動配信する。
３．ビジネスユーザー利用例
（１）タクシーにおける利用例
- イベント情報の提供による効率的運用や、ナビ上への目的地ワンタッチ設定による確実な賃送が可能。また乗客あるいは運転者へのニュース、天気等各種情報を配信する。
（２）レンタカーにおける利用例
- ナビ操作方法説明の時間短縮により、貸し出しに伴うレンタカー会社スタッフの負担を軽減する。また、お客様のニーズにあったオリジナルドライブプランの設定により、ナビ付きレンタカーの商品力向上にもつながる。
- 将来的には24時間無人貸し出しサービス等のポテンシャルを持つ。
（３）福祉車両における利用例
- 社会福祉協議会等におけるピックアップルート地図作成の負担を軽減。ルート変更、トラブル等、運行途中の様々な状況変化にも迅速かつ安全に対応することが可能である。
- 将来的には車いす対応トイレ情報等の福祉対応コンテンツ充実により利便性向上も図る。
● ナビモスリンク
将来交通システムの研究開発から生まれた、物流を中心としたビジネスカーのための支援システム。最適配送計画、進捗管理、求荷求車などのサブシステムを通 して、ビジネスカー関連業務の効率向上を実現する。
１．インターネット時代に合った簡便なシステム構成
- 必要なときに必要なサブシステムをダウンロードして利用可能。ユーザはWebブラウザさえ準備すればナビモスリンクの全サービスを利用することができ、特別 な環境は一切不要である。
２．システム構成
- 電子配車管理システム
ナビモスリンクのベースシステム。運送会社が保有する輸送車両の配送計画、業務進捗、業務実績をトータルに管理する。 - 配送計画支援システム（NAVIMOS TM）
配車数・積載率・稼働時間・時間制約などの複雑な条件を考慮して、効果的な配送計画を立案する。（平成10年5月よりカルソニックカンセイ（株）にて販売を開始。） - 業務進捗管理システム
配送計画の次の段階として車両動態情報、計画に対する進捗管理情報などを提供する。 - 業務実績管理システム
ドライブレコーダーとの連動により、走行履歴管理や日報管理などのサービスを提供する。 - 求荷求車システム
空き車両や荷の情報をネット上でやり取りするオープンな市場を提供し、新たなビジネス拡大のチャンスを創出する。複雑な条件に基づくマッチング処理を全てコンピューターによって自動的に処理することにより、ユーザーは高度なサービスを受けることが可能となる。
● ASV技術
交通事故低減を目指した広範囲の技術を統合し搭載する先進安全研究車「日産ASV-2」の技術の一部を、商用車にも有効なシステムとして提案。
- 居眠り／脇見運転警報システム
運転者の顔を画像処理することにより、居眠り状態に加えて大きな動作を伴う脇見状態も検知し警報を出す。 - 死角内歩行者警報
発進操作時に死角内の歩行者を赤外線センサーによって検知し、運転者に警報するとともに、 歩行者のいる方向へは発進できないようにする。 - レーンキープサポート
CCDカメラで撮影した画像を処理して道路の白線と自車の位置を認識し、車線のほぼ中央を走行するための操舵力の一部を補助的にハンドルに付加する。また、レーンマーカーを敷設した道路では、その情報を活用し車線を維持しやすくする。 - 衝突速度低減ブレーキ付全車速域ACC
停止から高速域までの頻繁な加減速操作からドライバーを開放して運転負荷を軽減させるシステム。主として高速道路走行時に、ミリ波レーダーとレーザーレーダーからの情報により先行車との車間距離や車速を制御し、頻繁なペダル操作をなくす。また、渋滞時には、前車の発進・停止に合わせて追従制御し、頻繁な発進・停止操作による運転負荷を軽減する。先行車が急な車線変更で回避したすぐ先に停止車両など障害物がある場合には、ブレーキを作動させる衝突速度低減ブレーキ機能も付いている。 - 配光制御ヘッドランプ
運転状況に応じ、ヘッドランプの配光を制御することで、夜間の視認性向上を図る。ハンドル操作に応じて光軸を制御して、進行方向を照射する。また、対向車あるいは先行車がいない場合には、追加補助ランプを点灯させたり、ヘッドランプ左側のカットオフラインを変更することにより、前方路肩の歩行者を発見しやすくする。
＜その他の出展物＞
●アトラス10 LPG車
●アトラス20 CNGV
●エキスパート
●キャラバン CNGV
●バネットバン
●バネットトラック
●シビリアン ハートフルサルーン CNGV
● クルー「タクシー」LPG車
● エルグランド フィールドベース X
● セレナハイルーフ
● キャラバン「チェアキャブ」
● セレナ「チェアキャブ」
● QG18DENエンジン
● QG15DEエンジン
● QR20DEエンジン
● ADバンフルラップ衝突社内実験車
など
＜試乗車＞
● キャラバン「チェアキャブ」
● エルグランド「アンシャンテ」
● リバティ「アンシャンテ」
など
（了）