本件は現地時間11月16日午前11:00にパリにおいて欧州日産が発表したものです。
2004年11月17日
2005年ダカールラリーは、日産にとって3回目のワークス参戦となる。このアフリカ大陸でのメジャーイベントで新型ニッサン・ピックアップ2005仕様車を完走させるべく、3名のトップレベルのドライバーが選ばれた。ダカールラリーは世界的な注目を集めており、威信をかけて参戦するエントラントたちの接近戦は、各国のメディアに大きく取り上げられている。
■技術的改良点2005年仕様のニッサン・ピックアップは外観上、昨年仕様と大きな変更はない。リアウイングが取り除かれ、キャノピー下のスペアホイール搭載位置が車両の中心に近づけられている程度にしか見えない。しかし、実際には2004年仕様から車両全体の80%もの変更がなされており、その実力は10月のバハ・ポルタレグレでのデビューウインですでに実証済みである。
開発作業は2004年ダカールラリーが終了した直後から開始され、まず前年モデルで発生した問題点を徹底的に分析。シェイクダウンテストは6月30日に行われ、その15日後にチュニジアにて本格的テストセッションを行った。チームは9月にモロッコにて、いくつかの部品の確認に加えて耐久テストを実施。1月のダカールラリー前に行われる実戦テストと言われている先月のヨーロッパ・バハカップ最終戦「バハ・アンタ・ダ・セッラ・ポルタレグレ500」で、コリン・マクレーが新型ピックアップを駆り初優勝を成し遂げた。
まず、第一に挙げられる変更点はエンジンである。2004年仕様の3.5リッターV6エンジンは4リッターV6エンジンに変更され、高トルク、レスポンス特性の向上を実現している。メンテナンス性に加え、シーケンシャルコントロールの6速ギアボックスに対応するため、エンジン搭載位置も変更された。
もうひとつの特記すべき変更点はサスペンションシステムの一新である。ジオメトリ、マウント部、ピボットが新設計となり、ベアリングジョイントが再設計されている。最終的にはトランスミッションも変更され、駆動系全体の信頼性が向上。前後ディファレンシャルも新しいものが搭載された。
■日産ラリーレイドチーム紹介
日産ラリーレイドチームは、2005年ダカールラリーのスーパープロダクションカテゴリーに3台の車両をエントリーする。それらを駆るのは6名の国籍の異なるドライバーとコ・ドライバーであり、真に国際的なチームの参戦となる。
ダカールの優勝経験を4回持つアリ・バタネンは、3年連続でニッサン・ピックアップをドライバーする。最多SS(競技区間)優勝の記録保持者であるバタネンは、今年第4SSのタンジール(Tangier)とエル・ラシディア(Er Rachidia)の間で自己通算50勝を記録。「フライング・フィン」のモチベーションは下降することを知らず、アフリカでのさらなる記録達成に向けて準備万端整えている。新車でのテストも熱心に行ったバタネンは、全く快適にドライブを楽しめたとコメントしている。バタネンと初組み合わせのコ・ドライバーは、元世界ラリーチャンピオンであるミキ・ビアシオンのコ・ドライバー経験を持つティジアーノ・シヴィエロである。シヴィエロにとっては3度目のダカール挑戦となる。
先月のバハ・ポルタレグレでクロスカントリーラリー初優勝を成し遂げたコリン・マクレーは、ダカールラリーには2度目の挑戦となる。バハ・ポルタレグレでは2005年仕様車の性能の高さを見せ、2004年ダカールラリーでSS2勝を達成しているスコットランド出身のマクレーは、今年得た好結果を再確認する意欲に燃えている。ここ数ヶ月マクレーは新しいニッサン・ピックアップの開発に深く関わり、砂丘での経験を積むため先月10月にドバイでのUAEデザート・チャレンジに参加。今度のダカールラリーでティナ・トルナーとのコンビによる出場は4回目となる。マクレーのスピードとトルナーの魅力という素晴らしいコンビネーションとなる。
南ア出身のドライバー、ジニール・ドゥビリエはその堅実性と才能により「確実な男」と評されている。前回2回のダカールラリーでは、日産ピックアップを完走に導き、今年はSS初優勝を達成。そして、は今後数週間以内には、2度目の南アフリカ・オフロードレース・チャンピオンとなる可能性もある。今年ドゥビリエの横でナビゲーションをするジャン=マリー・ルルカンは、2度のクロスカントリーラリー・ワールドカップ2位の実績を持つトップクラス。ルルカンは非常に経験豊かなコ・ドライバーであると同時に直観力に優れており、ドゥビリエをミスなくゴールのダカール海岸に導くことができるはずだ。完璧な熟練デュオが驚くべき何かを見せてくれるかもしれない。
■チーム組織今年の始め、日産ラリーレイドチームはそのベースを南フランスのエクソン・プロヴァンス近郊に移動し、全ての技術的側面とチーム後方支援の側面を一箇所に集中させた。これによりチーム力がより結集しやすくなり、対応力が格段に改善された。後方支援に関わるサポートトラックや車両がワークショップのすぐ隣に並び、イベント参加準備の効率が飛躍的に高められた。ヴェネルのワークショップに23名の常駐スタッフを配備し、日産ラリーレイドチームは3台の日産ピックアップ車両を入念に準備している。
車両は12月31日にバルセロナより現地へ向かう。ダカールラリーの期間中はスタッフ数が倍増され、T4(競技トラック部門)トラック2台、T5(後方支援車両部門)トラック5台、それに給油車両6台が、3台のレース車両と合流し、この新しいチームの総戦力を作り上げる。
■ ニッサン・ピックアップ 2005年ダカール仕様 車両主要諸元
エンジン
V6 (4バルブ/ 4 カム, 全アルミニウム製エンジン)可変バルブタイミングエンジン気筒容積 3960 cc
最大出力
200 kW /5000 rpm
最大トルク
430 Nm/ 4000 rpm
クラッチ
マルチ・プレート・カーボン
エンジン・マネジメント
ペクテル(Pectel社)製, エンジンデータロガー装置
トランスミッション
6速シーケンシャル・後退1速ギアボックス、センター・ディファレンシャル付
ディファレンシャル
フロントおよびリア リミテッドスリップデフ
サスペンション
フロントおよびリアダブルウィッシュボーン、ダブル・スプリング式ダンパー
2005年グループT1(改造クロスカントリーカー)車両規定により、
最大トラベル量250 mm
ブレーキ(フロント/リヤ)
4ピストンキャリパー
ベンチレーティッドディスク 320mm
ホイール
16インチ、リム径 7.5インチ
タイヤ
BF グッドリッチタイヤ
燃料タンク
500 リッタータンク、長距離リエゾン/SS用
ステアリング
ラック&ピニオン(パワーステアリング)
最大速度
190 km/h
重量 (ドライ)
1825 kg (2005年グループT1車両規定最低重量は 1750kg)
寸法
全長: 4,700 mm 全高: 1,700 mm 全幅: 2,000 mm
シャシー
ロールケージ
全サスペンションの上部ポイントと車体取付点を結合
以 上