日産自動車、ITSにおける車両制御技術を搭載したコンセプトカー

平成10年12月2日
日産自動車株式会社
広   報   部

 

日産自動車、ITSにおける車両制御技術を搭載したコンセプトカー
「ITS CAR 2001-」 を開発

 

日産自動車株式会社(本社:東京都中央区銀座 社長:塙 義一)では、ITS(高度道路交通システム)の実現に向けて開発をすすめている各種の車両制御技術を搭載したコンセプトカー「ITS CAR 2001- を開発した。同コンセプトカーは、21世紀に向けた高度車両制御システムに対する日産の提案であり、「走る・曲がる・止まる」というクルマの基本性能と人とクルマを結ぶ「ヒューマン・マシン・インターフェース」における技術革新を盛り込んだものとなっている。

 同コンセプトカーでは、高度な走行環境認識技術(センシング技術)を駆使した車両制御技術により、「走る・曲がる・止まる」という諸性能においてドライバーをサポートし、運転中のうっかりミスをカバーするとともに、運転負荷を軽減して快適で楽しいドライビングを提供することを狙いとしている。
「走る」という性能面では、ブレーキ制御付きの車間自動制御システムと渋滞時前車追従システムを採用。両システムの組み合わせにより、全ての速度域における前車追従走行を可能とした。そして、「曲がる」という性能面では、自動的にステアリングを制御するレーンキープ(車線保持)システムを採用。これら3つのシステムを組合せることにより、クルマの縦方向の動きと横方向の動きを同時に自動制御する2次元ACC(Adaptive Cruise Control)を実現した。「止まる」という性能面では、プレビューブレーキシステム(走行環境認識型の自動ブレーキアシスト制御システム)を採用している。
また、同コンセプトカーでは、複数の車両制御システムを統合化するとともに、ドライバーに違和感を与えない分かりやすいシステムとすることを狙いに、ドライビングシミュレーター※を用いたドライバーの運転行動解析に基づき、ドライバーの運転行動、要望に沿った車両制御を実現している。同解析では、ドライバーに煩わしさを与えない走行制御、ドライバーに分かりやすい走行モード表示の採用などにより、「ヒューマン・マシン・インターフェース」の革新も図っている。
※ドライビングシミュレーター
ドライバーのステアリング、ペダル操作による車両挙動をリアルタイムに計算し、前方画面に車両挙動に応じた画像を映し出すことにより、台上で車   両運動の体感、模擬運転を可能とするシミュレーター。
 
日産自動車では、車両制御システムの発展段階を4つに分けて考えている。現在は第1
世代、今回のコンセプトカー「ITS CAR 2001-」は第2世代に位置づけられるものであり、共にインフラを使わない自律型システムとなっている。近い将来、路面状況や車両位置情報などを使ったインフラ協調型の車両制御支援システムが第3世代として登場し、次の第4世代では車両制御技術がさらに高度化し、自動走行も可能になるものと考えられる。
同社では、情報提供系のITS技術を搭載したコンセプトカー「ITS CAR 2001-」 も本年8月に開発しているが、将来的には情報提供技術と車両制御技術の融合がすすむものと考えており、情報、車両制御、インフラが融合・合体したITSの将来像を見据え、今後もさらに開発をすすめていく。

 

 

 

 

 

 

《 「ITS CAR 2001-c」に搭載した代表的な車両制御システム 》

・車間自動制御システム

目的

・交通流に協調した走行を可能にするとともに、ドライバーの疲労も低減する。

技術概要

・先行車両と自車の車間距離および相対速度をミリ波レーダーで計測し、走行
速度に応じた車間距離を自動的に保つよう、スロットルとブレーキを制御す
る。

 

 

・渋滞時前車追従システム

目的

・渋滞時における発進/停止の煩わしさを低減する。
・渋滞時のうっかりミスによる追突事故を低減する。

技術概要

・渋滞時に前車との車間距離を計測し、これをドライバーが設定した距離に保 
つように自動的に加減速する。前車が停止した場合は所定の車間距離で停止        
し、 前車が発進した際はブザーでドライバーに知らせ、ドライバーの発進操 
作により発進する。

 

 

・レーンキープ(車線保持)システム

目的

・ドライバーの不注意による車線逸脱事故の低減
・運転に伴う疲労の低減

技術概要

・CCDカメラにより路面の白線を認識し、高速道路や自動車専用道路で自動的にステアリングを制御して、車線保持走行を行う。

 

 

・プレビューブレーキシステム

目的

・緊急制動時の衝突速度の低減

技術概要

・前車との車間距離を測定し、自車の速度が高く急減速が必要と予測される時 
に、 予めブレーキ圧を予圧しておき、ブレーキの応答性を高め、空走距離を
短縮する。
※追突事故で多く見られるケース*で、衝突速度を5km/h低減できる。
*50km/hで走行中、20m手前でドライバーが緊急事態を認識した場合

 

 

以上