今後の商品に関する環境保全の取り組みについて

〜「超—低排出ガス車(U-LEV)」の採用拡大を決定〜

 

 

 

 

 

 

 

 日産自動車株式会社(社長:カルロスゴーン、本社:東京都中央区銀座)は、今後の商品における環境保全の取り組みとして、排出ガスのクリーン化及び燃費向上に関する具体的な方針を発表した。

(1)排出ガスのクリーン化〜「超—低排出ガス車(U-LEV)」の採用拡大

 

日産は、今後投入する商品において、平成12年度排出ガス規制値を75%以上下回る性能を有する排出ガス浄化技術の採用拡大を行う。

 

  • 具体的には、2003年3月末までに国内乗用車販売台数に占める「超—低排出ガス車 (U-LEV)」*1の比率を、約80%にまで高める。
  • 同技術の採用拡大により2003年度末時点で、国内における新車のHC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)の総排出量を1995年度比で約85%削減することが可能となる。
  • これはHCやNOx削減において燃料電池車等のゼロエミッション車を年間約40万台普及させることとほぼ同等の効果をもたらす。

 当社は、昨年2月に北米市場に投入した「セントラCA」*2、及び昨年8月より国内で発売している「ブルーバードシルフィ」のガソリンエンジンに、“世界で最もクリーン”な排出ガス浄化技術を既に採用している。これは国土交通省の低排出ガス車認定制度で最もクリーンな「超—低排出ガス車(U-LEV)」の基準値を更に50%も下回る排ガス水準を達成した実効性の高いシステムで、HC、NOxの削減に大きく寄与する。「ブルーバードシルフィ」の2001年10月時点での累計販売台数は約4万9千台であるが、このうち約60%がU-LEVとなっている。

 今回の決定は、このような“世界一クリーンなガソリン車”で示した高効率な触媒や高精度空燃比制御技術を活用して初めて可能となるものである。

(2)燃費向上 〜FF大排気量車用新型CVT(無段変速機)を新開発

 

日産自動車は、来年発売を予定している車両に、世界に先駆けて3リッターを超える大排気量エンジンに対応できる新型ベルト式CVT*3を搭載する。

  • 来年発売する新型車へのFF大排気量車用CVTの搭載により1リッター車から3リッター車を越えるクラスまで対応する、FF車用ベルト式CVTのフルラインアップが整うことになる。

 当社は、燃費の良さと変速ショックのない滑らかな加速性能を両立したベルト式CVTを開発、1992年「マーチ」より採用を開始した。1997年には世界で初めて2リッタークラスの車両(プリメーラ)に搭載し、その後、採用を拡大してきた。また1999年にはトロイダルCVT(商品名:エクストロイドCVT)の商品化に世界で初めて成功する等、CVTの普及に関して業界内でも先駆的役割を果たしている。

(3)将来に向けて〜 燃料電池車(FCV:Fuel Cell Vehicle)の取り組み

 

日産自動車は、2005年の実用化を目指して、2002年に日本政府が実施を検討している『国内実証実験』*4に参加する。

 日産自動車はルノーと共同で今後5年間で850億円の投資を行い、究極のクリーンな動力源である燃料電池車の実用化に向けた技術開発に、積極的に取り組んでいる。

 当社は、米国のCalifornia Fuel Cell Partnership*5に参画し、既に本年4月より、高圧水素方式の燃料電池車「Xterra FCV」の公道走行実験を行っている。この車両には、すでに製品化されている「アルトラEV」、「ハイパーミニ」といった電気自動車、及び「ティーノ・ハイブリッド」(ハイブリッド車)で示した当社の先進技術が活用されている。

 「我々は規制に適合という観点だけでなく、社会のニーズに基づいて企業としての責任である環境保全に取り組んでいく。将来の課題に対応するための技術開発にも継続的に取り組んでいるが、我々の技術が真に効果を発揮するためには、手頃な価格で広く普及できるものであることが重要な課題であると認識している。」とカルロスゴーン社長は語っている。

 日産自動車は、「日産環境理念:人と車と自然の共生」の実現のために策定した「環境行動計画」に基づき、燃料電池等の代替エネルギー車のような、将来を見据えた革新的で創造的な技術開発を進めている。同時に、今回発表した「超—低排出ガス車(U-LEV)」の普及拡大や、CVTの一層の採用拡大など、一般のお客様に手頃な価格で提供できる環境保全技術の商品化を着実且つ積極的に推進し、あらゆる角度から地球環境保全に貢献していく。

*1:2000年4月より運輸省(現国土交通省)が、一般消費者の選択を通じ、排出ガス低減性能の高い自動車の普及を促進するために開始した低排出ガス車認定制度で、排出ガス量の低減レベルが最も厳しい「平成12年基準排出ガス75%低減レベル」をクリアした低公害車。
平成12年排出ガス規制…CO、HC、NOxの排出レベルを8万km走行後(社内測定モード)でも従前の規制値の約1/3へ低減。燃料蒸発ガス規制強化、排気制御部品の故障診断装置など、平成12年10月以降施行された排出ガス規制。

*2:「セントラCA」は、1999年11月、California Air Resources Board(カリフォルニア大気資源局、略称:CARB)より、米国カリフォルニア州のゼロ排気車(Zero Emission Vehicle)クレジットの適用を初めて受けた。

*3:Continuously Variable Transmission

*4:正式名称未定。2002年度予算概算要求での名称は「固体高分子形燃料電池システム実証等研究」、所轄経済産業省(資源エネルギー庁)、12月末政府予算可決、3月末国会可決、決定予定。

*5:自動車メーカー、燃料電池会社、米国州政府関係機関等で構成された共同事業体で、以下の4項目を目標として活動している。

  • カリフォルニア州での日常使用における燃料電池車技術の実証実験
  • 水素、メタノールなどの代替燃料の供給インフラ技術の実証実験
  • 燃料電池車の実用化に向けての諸課題の調査
  • 燃料電池車の一般認知度の向上、並びに実用化への準備

(了)