日産自動車は本日、2000年度(2001年3月期)の決算を発表した。『日産リバイバル・プラン』(以下、NRP)発表以降の最初の会計年度において、連結当期利益3,311億円(米ドル換算で27億ドル、ユーロ換算で30億ユーロ)を達成した。
日産のカルロス・ゴーン社長は次のように語っている。「日産は復活した。我々はNRP発表後の一年目に、我々の知り得る限り当社の歴史上最高の業績をあげる事ができた。営業利益を対前年比3倍以上に増加させると同時に、有利子負債は過去15年で最低のレベルに削減された。NRPは着実に実行されており、我々は全員で成し遂げたこの結果に刺激され、更に前進しようとしている。」
自動車事業における実質有利子負債残高は年度全体を通じて3,960億円(32億ドル、36億ユーロ)減少し、過去15年間で初めて1兆円を下回る9,530億円(77億ドル、87億ユーロ)となった。
連結営業利益は前年度の826億円の3倍以上となる2,903億円(23億ドル、27億ユーロ)、売上高は前年度比1.9%増の6兆900億円(491億ドル、559億ユーロ)であった。また、連結売上高営業利益率は4.75%であり、NRPでコミットした2002年度決算における4.50%を2年前倒しで達成した。
この結果は、836億円(6億7,420万ドル、7億6,700万ユーロ)の為替によるマイナス影響があったにもかかわらず達成されたものである。
「我々は、勝者となり、勝ち続ける為にはまだ数多くのやるべき事があると自覚している。まだ日産は、緊急事態から回復の段階に移ったところにすぎない。我々はこれまで達成した事に対してと同様な情熱で将来の目標達成に向けてまい進する。」とゴーン社長は結んだ。
ゴーン社長はまた、2003年度から2005年度までのポストNRP時代におけるガイドラインについて言及した。これによると日産は、全世界で100万台の販売増、業界トップレベルの利益率の達成と自動車事業関連有利子負債ゼロを目指す。
決算の要旨
販売台数
NRPでは触れていない要素ではあるが、全世界における2000年度の販売台数は前年度の253万台から263万2千台へと4%の増となった。
日本以外の全主要市場において販売台数の増加を達成したが、日本では前年度比3.6%減の73万3千台であった。北米(米国及びカナダ)においては、後半の市場環境悪化にもかかわらず前年度比5.3%増の79万3千台となった。欧州では、前年度比3.5%増の53万3千台。その他地域における販売は前年度比14.1%増の57万3千台を達成した。これは28.3%増となったメキシコをはじめ、タイ、シンガポールでの好調な販売実績によるものである。
売上高
連結売上高は前年度比1.9%増の6兆900億円(491億ドル、559億ユーロ)となった。会計処理方法の変更と連結適用範囲の変更による増加分は合計で0.5%。売上増に寄与したその他の主な要因としては、売上台数、車種構成及び販売価格によるものが全体の4.7%であり、為替の影響によるマイナス分の3.3%を吸収した。
営業利益
連結営業利益は前年度の826億円から2,903億円(23億ドル、27億ユーロ)へと3倍以上に増加した。売上高営業利益率は前年度の1.4%から今期は4.75%に増加した。
NRPの迅速な実施とサプライヤーとの緊密な連携により購買コストは11%削減された。そして、全部門と全地域において、コスト削減計画を上回った。
第4四半期において円安傾向にあったものの、減益要因として836億円(6億7,420万ドル、7億6,700万ユーロ)の為替差損が発生した。円が全通貨に対して平均的に強かった事により、94億円(7,580万ドル、8,620万ユーロ)のマイナスが米ドルから、631億円(5億890万ドル、5億7,890万ユーロ)のマイナスが欧州通貨から発生した。
経常利益
連結経常利益は1999年度の▲16億円の赤字から2,839億円改善し2000年度は2,823億円(23億ドル、26億ユーロ)となった。営業外費用は762億円削減。このうち財務コストは自動車事業関連有利子負債の減少と、より低コストの資金利用により295億円減少し、今期は311億円(2億5,080万ドル、2億8,530万ユーロ)となった。経常利益には、国内部品サプライヤーを含む関連企業の利益によってもたらされた92億円(7,420万ドル、8,440万ユーロ)も含まれる。
税引前当期利益
特別利益74億円(5,970万ドル、6,790万ユーロ)を計上した事により連結税引き前当期利益は2,897億円(23億ドル、27億ユーロ)となった。尚、構造改革に伴う追加の特別損失は2000年度決算では発生していない。
少数株主利益は、100%保有していない連結子会社の収益が改善した事により211億円(1億7,020万ドル、1億9,360万ユーロ)となった。
法人税
法人税は681億円(5億4,920万ドル、6億2,480万ユーロ)である。一方、繰延税金資産1,306億円(11億ドル、12億ユーロ)を認識している。
当期利益
連結税引き後当期利益は3,311億円(27億ドル、30億ユーロ)となり、1999年度の▲6,844億円の赤字から1兆100億円の増加となった。これは、過去最高の結果である。
有利子負債および財務状況
2001年3月31日現在、連結自動車事業における実質有利子負債残高は9,530億円(77億ドル、87億ユーロ)となり、1999年度末の1兆3,490億円から3,960億円減少。販売金融会社を含む総有利子負債は2兆5,440億円(205億ドル、233億ユーロ)となった。
2001年3月31日現在の連結株主資本は9,579億円(77億ドル、88億ユーロ)となり、2000年3月31日時点の為替換算調整勘定を資本の部に振り替え後のベースの5,638億円と比較して3,941億円の増加となり、1株あたり7円の配当を提案する事ができた。自動車事業における負債と自己資本の比率は1となり、昨年の2.4から大幅に改善された。これはまた、1989年以来最良の数字であった。
見通し
日産は、2002年3月31日までの会計年度に関し、以下の見通しを発表した。
予想されるリスクとしては、世界中の自動車業界における一層の景気減速とインセンティブ増加の可能性が考えられる。
一方、予想されるプラス要因としては、予測よりも好転し得る為替レートが考えられる。しかし、最大の強みは継続的なNRPの力強い実行にある。
この見通しに基づき日産は、東京証券取引所に2001年度(2002年3月31日末)の連結業績予想を発表した。その中では、売上高6兆3,000億円、営業利益3,500億円、経常利益2,900億円および当期利益3,300億円としている。また、同年度末までには自動車事業関連有利子負債が8,500億円以下になると予想している。
以 上
注:本リリース中に記載されている米ドルおよびユーロ表記は、2001年3月31日における概算である1ドル=124円および1ユーロ=109円のレートを使用。