ドイツ日産/RJNモータースポーツの350Z、一時はトップ20を走行も残念なトラブルでリタイア

ニュルブルクリンク24時間レースレポート

6月10日 ドイツ ドイツ日産は、6月7〜10日にドイツ中西部のニュルブルクリンクにて行われた世界最大のツーリングカー耐久レース「35. ADAC Zurich 24h-Rennen」(通称:ニュル24時間)に日産フェアレディZ(現地名:350Z)を投入。参加台数219台の中で、予選29位からスタートをして一時は19位までポジションを上げたが、残念ながら後半にオーバーヒートから始まったエンジントラブルのためにリタイアとなった。

ニュル24時間は今年で35回目の開催を迎えるツーリングカーの耐久イベント。毎年200台を超える車両が欧州を中心に世界から集まる。舞台となるニュルブルクリンクは80年前に造成されたアイフェル山中のサーキットで、F1GPが開催されるGPコースと伝統の北コース(オールドコース)をつないだ1周25.378kmのコースで行われる。北コースは180ものコーナー、300mもの高低差がある峠道のような高速周回路で、縦方向のブラインドコーナー、クルマが浮き上がるジャンピングポイント、バンクのついたヘアピンカーブなどニュル独特の"名物"がアクセントをつけている。あらゆる路面状況を持っていることから、自動車メーカーのハンドリングを決定するテストコースとしても利用されるほど。さらに山中にあるために天候の変化も多く、難関不落のサーキットと言うこともできる。
またこの夏のイベントを楽しみにしている地元ファンも多く、毎年コース脇にはキャンプをしながらレース観戦を楽しむファンが数多く集まる。ステレオを大音響でかけながらビールを飲み、バーベキューを楽しむファンは、今年も21万人(週末延べ)に達した。

今年の24時間レースにドイツ日産は、自動車雑誌の「Auto Zeitung」とジョイント。英国のRJNモータースポーツで350Zベースのレーシングカーを製作。2月に英国内でシェイクダウンを済ませた後、4月と5月にニュル北コースで行われた4時間テストに参戦して万全を期した。RJNモータースポーツは、元ニッサン・モータースポーツ・ヨーロッパのスタッフであったボブ・ネビルが00年に興したモータースポーツ/チューニングの会社で、BTCC(英ツーリングカー選手権)やダカール・ラリーにチャレンジしてきた。今回の350ZはFIAのGT4カテゴリーに準じた車両で、いわば改造範囲の狭い市販車に近い。クラスは排気量3,001〜3,500ccのSP6に区分される。
ドライバーは、JGTCにもスカイラインGT-Rでスポット参戦経験のあるルクセンブルクのベテラン、クルト・ティームを中心に、ニコール・リュテッケ、ホルガー・エクハート、ティム・シュリックという3名のドイツ人ドライバーでチームを組んだ。

8日の10〜12時、気温23〜24℃で行われた予選1回目。350Zは9分57秒621のタイムで総合39位/クラス8位とまずまずの位置につけた。5時間半のインターバルを置いた、19時30分〜23時30分のセッションでは路面も冷えて各チームともアタックを行う。特に日没を過ぎた22時前後がトップチームのアタックタイムとなる。350Zは9分34秒762へ大幅なタイムアップをし総合29位/クラス5位へポジションを上げて終了。翌日の24時間レースに期待が高まった。

明けて9日は、13時過ぎから200台を超える車両が手押しでグリッドに着いていった。14時40分、フォーメーション開始直前になって西の空が真っ暗となり、ヒョウを伴った大粒の雷雨でスタート進行は中断。1時間ほどで雨も上がり、ウェット路面でフォーメーションがスタートした。路面の状況を確認するためにフォーメーションは2周行われ、16時51分、予定より1時間51分遅れで決勝レースがスタートした。

しかしスタート時には雨も上がり徐々に路面が乾いてくる。3〜5周目に各車両が次々にピットインしてタイヤ交換を行ったため、ピットは大混乱。1時間経過の時点で350Zも一時ポジションを47位/クラス9位まで落としての走行となったが、ジワジワと本来のペースに戻して走行を重ね、3時間目に33位、7時間目に30位、9時間後には他車両のピットインのタイミングもあり総合19位/クラス4位と大躍進を遂げることになった。そして総合22位/クラス3位を走行中の深夜3時54分、霧による視界不良で赤旗が掲出され、レースは中断となった。この中断で車両をストップさせたことで、350Zにはオーバーヒートの症状が出た。
チームはエンジンのガスケットを交換してレース再開に備えた。日もすっかり明けた9時39分、6時間近いインターバルを挟んでレースは再開。350Zは20位からの再スタートとなった。しかし昼過ぎ直後の69周目のピットインで、エンジンは深刻な状態になっていた。チームはこれ以上エンジンにダメージを与えられないと撤退を決定。残念ながら16時51分のゴールを迎えることはできなかった。しかしノーマルスペックに近い車両で、総合のトップ20以内を走行できたことで、チームもドライバーも大きな収獲を得ることができたのだった。

以 上