12月5日 サンルイス・サーキット (アルゼンチン)
FIA GT1世界選手権最終戦は12月5日、アルゼンチンのサンルイスで予選レース及び決勝となるチャンピオンシップレースが行われた。予選レースはこの日朝から行われ、予想通りハプニングの連続となった。#4 NISSAN GT-Rの荒聖治/マックス・ニルソン(スウェーデン)は、エンジン交換のため出走を取り止めたが、#3 NISSAN GT-Rのカール・ヴェンドリンガー(オーストリア)/ヘンリ・モサー(スイス)組は、今季一番の走りを見せ、21番手グリッドから7位まで浮上する快進撃。この後に行われるチャンピオンシップレースのスタートに向けて、好位置を獲得した。
Sumo Power GTの両マシンも、予選レースでポジションアップを果たした。ミハエル・クルム(ドイツ)/ピーター・ダンブレック(英国)組は一時3位を走行していたが、ダンブレックが別のマシンを避けようとした際にラインを外れてしまう。ダストに覆われたサンルイスのコースは、ラインを外れると途端にグリップがなくなってしまう。しかし、ダンブレックはすぐに立て直し、6位まで挽回した。ウォレン・ヒューズ(英国)は18番手グリッドから8位にまで浮上したが、ピットストップに入る際、同じくダストに乗ってスライドしてしまった。このタイムロスにより、#22 NISSAN GT-Rは順位を下げてのコース復帰となったが、ジェイミー・キャンベル・ウォルター(英国)は13位で予選レースをフィニッシュした。
チャンピオンシップレースになると気温はさらに上がり、コースコンディションは大きく変化した為、ドライバーはさらに苦戦を強いられた。ダンブレックは5番手からスムーズにスタートを決めた後、好走を続けたが、4位争いを展開していた7周目でスピン。これで#23 NISSAN GT-Rは順位を落としてしまった。クルムに交替した後は集団中央でのバトルとなり、他車と接触した際にパワーステアリングにダメージを負い、リタイアとなった。
キャンベル・ウォルターは前半でいい走りを見せ、12位でヒューズに交替。しかし後半を担当したヒューズはギアボックスのトラブルに見舞われ、フィニッシュまでわずか数分というところでリタイアとなった。最終戦を終えて、Sumo Power GTはチーム選手権6位となった。
ヴェンドリンガーはレース序盤でグリップに悩まされたが、14位でモサーに交替。そのモサーはアストンマーチンとの好バトルを展開するものの、シケインでコースオフしリタイアとなった。荒とニルソンは、#4 NISSAN GT-Rでチャンピオンシップレースをスタート。エンジン交換を行ったため後方スタートとなった荒だが、ピットストップまでに19位まで挽回した。ニルソンも好走を見せて、13位でフィニッシュした。
8ヶ月前、アブダビで開幕したFIA世界選手権としてのGT1シリーズ初年は、このレースで幕を閉じた。チームは慌ただしく荷物を積み、それぞれの本国へと帰っていく。GT1世界選手権の2シーズン目は、3月、アブダビで開幕を迎える。
#23 GT-Rドライバー ピーター・ダンブレック
「午後はコースコンディションが一変しました。いつもと同じようにコーナーに進入して行ったのですが、スピンしてしまいました。とっさに目いっぱいカウンターを当てましたが、接触したかと思いました。でも大丈夫でした。あの部分はとてもタイトで、スピンターンをしなくてはならないほどです」
同 ミハエル・クルム
「今日は残念な結果でした。マシンはとても調子がよかったので、接触によるダメージでのリタイアは本当に不運でした。このアクシデントがなければ、今日はポディウムも狙えたはずです。今年に関して言えば、世界選手権に初めてフル参戦したというのは僕にとってビッグチャレンジでした。シルバーストン、スパ、ニュルブルクリンク、インテルラゴスといったサーキットでレースができたことはとても楽しかったです。シリーズ成績としてはもっと上位を狙っていたのでちょっと残念だけど、世界チャンピオンを争うレースに参加できたことをうれしく思います。このチャンピオンシップは、クルマ、ドライビング、ピットワーク、作戦の全てがパーフェクトで、さらに運も味方につけないと勝てません。この条件が整えば、GT-Rが世界チャンピオンになれることは、今年何度か表彰台にあがったことからもわかります。足りなかった部分を改善して来年もチャレンジしたいですね。日本のファンの皆さんがTV、インターネット、ブログやツイッターをフォローしながら1年間応援してくれていたので、すごく心強かったです。でも本当はサーキットに応援団が来てくれるともっとパワーがでるから、日本のファンの前でGT1のレースをぜひやりたいですね。1年間応援本当にありがとうございました」
#3 GT-Rドライバー カール・ヴェンドリンガー
「午前中は、マシンは絶好調でしたが、午後はまったくグリップが得られませんでした。スタートで少し順位を落とし、その後は後方からたくさんヒットを受けたので、ポジションキープが精一杯でした。ピーター(・ダンブレック)がスピンした時、彼を抜きましたが、後ろに続いていたアストンマーチンにリアからヒットされて、ウォールが目前に迫りました。予選レースの結果から今年最後のレースでいい走りができると期待していただけに、残念です」
#4 GT-Rドライバー 荒聖治
「午前の予選レースはエンジン交換のために走りませんでした。チャンピオンシップレースのスタートまでに見事すべての作業を完了してくれたメカニックたちには、本当に感謝しています。後方からのスタートとなり、コースコンディションはよくはありませんでしたが、それでも数台抜くことができました。グリップがほとんどなかったので、安定して走るのは大変でした。今日はポイント獲得が目標だったので、それに届かなかったことは悔しいです。今年1年間GT1世界選手権で、欧州のスーパーカーやレベルが高いドライバー達とレースをしたことで、日本では経験できないことを沢山経験することが出来ました。ヨーロッパでは、僕がルマン24時間やルマンシリーズに参加していたことを憶えていてくれたファンが結構いて、暖かく迎えてくれたことはすごく嬉しかったですね。このシリーズでは初めてのサーキットでのレースが多く、短い走行時間の中でコースを覚えて、クルマを仕上げていくのは正直大変でしたが、この経験ですごく逞しくなれたと思います。近い将来、日本の皆さんにぜひ生のGT1レースをお見せしたいと思います。日本のファンの皆さんの声援はいつもいろいろな形で届いていたので、唯一の日本人ドライバーとして戦う励みになっていました。今年経験したことを生かせるように来年も頑張りますので、引き続き応援をお願いします」
Pos | No | Machine | Driver | Time |
---|---|---|---|---|
1 | 9 | Aston Martin DB9 | Makowiecki / Clairay | 1:00:28.603 |
2 | 5 | Ford GT Matech | Westbrook / Mutsch | 13.616 |
3 | 10 | Aston Martin DB9 | Piccione / Hirschi | 23.159 |
4 | 25 | Lamborghini Murciélago R-SV | Kechele / Jimenez | 23.623 |
5 | 8 | Aston Martin DB9 | Lopez / Mücke | 26.883 |
6 | 37 | Lamborghini Murciélago R-SV | Risatti / Basseng | 27.827 |
7 | 1 | Maserati MC12 | Bertolini / Bartels | 32.44 |
8 | 6 | Ford GT Matech | Jani / Armindo | 38.646 |
9 | 33 | Maserati MC12 | Müller / Heger | 51.61 |
10 | 24 | Lamborghini Murciélago R-SV | Kox / Haase | 58.398 |
13 | 4 | Nissan GT-R | Ara / Nilsson | - |
16 | 22 | Nissan GT-R | Campbell-Walter / Hughes | 4 Laps |
17 | 23 | Nissan GT-R | Dumbreck / Krumm | 8 Laps |
21 | 3 | Nissan GT-R | Wendlinger / Moser | 13 Laps |
<関連情報> 日産モータースポーツ
以 上