日産と東風、中国の乗用車・商用車事業で広範囲に亘る長期的な協力関係を樹立

−日産、東風の主要事業に50%資本参加−

日産自動車(以下「日産」本社:東京都中央区銀座、社長:カルロス・ゴーン)と東風汽車公司(以下「東風」)は本日中国における包括的、戦略的な提携関係を締結する。今回の提携に基づきフルラインアップの日産ブランドの乗用車および東風ブランドのバス、トラック、小型商用車事業を扱う新会社が設立され、両社は新会社に対し各々50%の出資を行う。

 

 

 

 

今回の提携により日産と東風は、中国と外資の提携としては初めてバス、トラック、小型商用車、乗用車といったフルラインの自動車メーカーを設立することとなる。新会社の名称は「東風汽車有限公司」となる。

日産と東風はこの新会社を世界レベルで競争力のある乗用車・商用車メーカーとすることを狙っており、2006年までに55万台の販売を目指している。

東風は中国でトップ3に入る自動車メーカーであり、1969年に中国政府により設立された。2001年の年間販売台数は265,000台であり、そのうち194,000台がバス、大型、中型、小型トラックなどの商用車である。今日中国市場の50%は商用車市場(除くバス)であるが、同市場で東風は17%の市場シェアを有している。

東風の2002年上期の販売台数は190,900台となり前年同期比で44.6%増加した。同時期の営業利益は26.9億元であり前年同期比で99.42%上昇した。

協力関係を通じて日産は新会社「東風汽車有限公司」に対してグローバルなブランド力、技術力、幅広い商品ラインアップ、そして同社の再建を通じて得られたマネジメントの専門的技術を提供する。日産は新会社「東風汽車有限公司」の50%株式取得のために85.5億元(日本円1,204億円、米ドル10.3億ドル)の直接投資を行うが、それに加え2006年までに中国向け商品の開発のために200−300億円を投資する。

東風は新会社「東風汽車有限公司」に対して中国でのブランド、知名度、商用車販売における確固たる実績、大規模かつ確立された生産設備、献身的な従業員、成長する中国自動車市場における広範囲な流通販売網をもたらすこととなる。

東風の総経理(CEO)である苗(Miao  Wei)氏は「日産が東風の長期的、包括的なパートナーとなる事を心から歓迎する。過去2年間、東風グループの風神自動車でのブルーバード・セダンの生産を成功裏に進めながら、東風は日産との関係を着実に構築してきた。そして今日我々は意欲を持って日産と包括的な提携関係に入り関係強化を図る。東風が将来真に競争力のある、フルラインの自動車メーカーとなるためには日産との関係強化は不可欠である。」と語った。

一方、日産のカルロス・ゴーン社長は「中国は日産にとってこれから開拓していく市場である。東風との関係を通じて中国市場における日産のプレゼンスを高めていく決意である」と語った。

「この日本の有力企業と中国有数の国営企業の間に前例の無い包括的な提携関係が締結されたことは中国市場の消費者に真の利益をもたらすこととなろう。グローバルなベンチマークを基に、ベスト・マネジメント・プラクティスを東風の収益事業である商用車、乗用車事業に適用する事は、全てのステークホルダーの利益になるであろう」ともゴーン社長は語っている。

東風の自動車事業はこれまで商用車の生産・販売が主体で、「東風」は中国において強いブランドとなっている。日産の支援は新会社がその事業を小型商用車、乗用車へと広げフルラインメーカーとなり、中長期的に収益性および成長を拡大する起動力となる。

日産は1933年に設立され、1972年のセドリック・セダンの輸出で中国でのビジネスを開始した。現在セフィーロ、サニー、ブルーバードの乗用車、ピックアップトラック、SUVのエクストレイルを中国市場で販売している。また、風神汽車は東風の子会社であり台湾の裕隆汽車も資本参加しているが、ブルーバードを中国で生産している。鄭州日産は別事業としてピックアップトラックを生産している。尚、2001年の日産の中国での販売実績は34,000台であった。

今回日産と東風が締結した提携は、中国自動車メーカーと外資のパートナーによるものとしては前例のない規模のものである。

新会社の利益ある成長を支援するために、契約では日産は商品企画、購買、工場生産性、物流、品質管理、ブランドマネジメント、マーケティング・販売、流通網、財務など多くの分野で経営ノウハウを提供する。更に、今回の提携により東風の既存の商用車研究開発資源を強化する一方で、新たに乗用車の研究開発センターを設立する。

新たな東風汽車有限公司では2006年に55万台の年間販売台数を目標としているが、そのうち33万台は商用車である。トラックとバスは十堰、襄樊といった既存の東風の工場で生産され、東風ブランドで販売される。

22万台は乗用車で、エコノミーカー、ファミリーカー、ラグジャリーカーなど多岐にわたり、小型車、中型車、多目的車といったセグメントの車となる。新会社で生産される全ての乗用車は日産ブランドの車となる。それらの車は湖北省襄樊市および広東省広州市花都区で生産される。

現在の計画では既に生産されているブルーバードに加えて2006年までに6車種が現地生産される予定である。まず始めに2003年よりサニーが新会社「東風汽車有限公司」で生産開始される。

日産、東風両社は新会社が10年以内には90万台の生産能力を有する世界的に競争力のある会社となり、中国自動車産業のグローバル化、中国市場の発展に主導的な役割を果たす事を見込んでいる。

今年は日産が中国市場でのビジネスを開始してから30年となる。今回の契約は日産が中国市場でのプレゼンスを高め、日産180のコミットメントである2004年度末までの100万台の販売増に寄与するものである。

日産と東風の包括的な長期にわたる提携は、東風がグローバルな競争環境に積極的に参入し、中国のWTO(世界貿易機関)加盟後の課題に備えるための重要な手段となる。今回の提携により東風はその競争力、規模を拡大し、グローバルレベルでの競争力を高めると同時に中国自動車業界に貢献することとなる。

日産と東風は今後政府の定めた手続きに則り、直ちに共同で新会社設立に向けた計画策定に着手する。日産と東風の協力関係は中国政府、関係省庁、湖北省、広東省などの地方政府関係者からの強い支援を受けている。

以上

注:為替については2002年9月13日の為替相場、1元=14.08円、1元=0.12米ドル、1ドル=121.75円を基に換算した。