ルノー、日産との広範な協力によりメキシコ市場に復帰

1999年12月10日

 

両社によるシナジー創出の新たな展開
ルノー、日産との広範な協力によりメキシコ市場に復帰

 

 ルノーは国際戦略の一環として、日産の生産・販売支援により最も効率的にメキシコ市場に復帰する。一方、日産はルノーを全面支援しながら、メキシコ市場において商品ラインナップを充実させることによりセールス・マーケティング力を強化していく。また、日産は生産面での協力、共同購買、バック・オフィスの共用化により、さらに競争力を高めていく。ルノーの販売金融子会社であるルノー・クレジット・インターナショナル(RCI)はメキシコにおいて日産とルノーの顧客、及びディーラー向けに新規に金融サービスを提供する。日産、ルノー両社は、このプロジェクトに今後7年間で4億USドルの投資を予定している。

1999年3月27日に締結された日産とルノーの提携は、相互の協力により両社の利益ある成長を目指している。このメキシコ・プロジェクトは両社の戦略上、不可欠なものである。

 

【ルノー】

利益ある成長と国際的な展開を目指す戦略に沿って、ルノーはメキシコ市場に復帰するプロジェクトを1998年に立ち上げた。メキシコ市場は高い成長の可能性を秘め、2010年までには年間100万台の規模(1998年の販売台数は643,000台)に達すると見込んでいる。

ルノーは1986年にメキシコ市場から撤退した。これは当時欧州における同社の厳しい経営状況とメキシコ市場の危機的状況が重なったためであり、ルノーは同市場での事業の中止を余儀なくされた。しかし、現在ルノーは健全な財務状況にあり、高品質で革新的な商品ラインナップを有し、トップレベルの競争力を身につけ、そして日産との全面的な戦略的提携関係を築いている。

日産との提携により、ルノーはメキシコにおける日産の生産・販売支援を得ながら、同社のプロジェクトを加速させ、またコスト低減も進めることが可能となる。一方、ルノーのメキシコ市場への復帰によって、日産は工場の稼働率を引き上げ、商品ラインナップを拡大し、現地での事業強化を図っていく。

ルノーにとってのこのプロジェクトの目的は、日産の強固な事業基盤を活用しながら、カスタマー・サービスの革新において市場をリードし、また、革新的な商品ラインナップと最高のサービスによって、メキシコにおけるルノー・ブランドの将来を築いていくことである。

その目的のために、ルノーはメキシコに配給子会社を設立し、2001年には輸入されるか、メキシコ日産で生産されるルノー車を独自の販売ネットワークに供給していく。

最初に販売されるモデルはセニックである。これは欧州において新しい市場を開拓した非常に革新的なコンパクト・ワンボックスであり、発売以来すでに713,000台以上販売している。今後2年間で、ルノーは新しいモデルをメキシコ市場に投入する予定であり、初のワンボックス・スポーツ・ユーティリティであるセニックRX4、さらにクリオなど、メキシコ市場の各セグメントをカバーするモデルを投入していく。これらの商品は、特にルノーが欧州においてリードしている安全に関する装備など、充実した仕様となる予定である。

ルノー車は、質の高い革新的なサービスを提供する販売ネットワークを通じて市販されていくことになる。ルノーの当初の目標は、メキシコ市場の75%を占めるメキシコ・シティ、グアダラハラ、及びモンテレーにおいて販売ネットワークを構築することである。このネットワークは徐々に拡大され、2003年までに約50ディーラーにまで増やすこととなる。それらのディーラーは主として日産の既存ディーラーの中から選定される。ルノー車の販売のために、日産のバックオフィス機能が全面的に活用されることとなる。ルノーの販売金融子会社であるルノー・クレジット・インターナショナル(RCI)によって、日産とルノーの両販売ネットワークに対し顧客向けの新しいクレジット・サービスが提供される。

ルノーはメキシコ市場において、2003年には約30,000台、将来的には80,000台の販売を目指している。さらに、メキシコでの日産とのパートナーシップによって、ルノーは中米やカリブ地域におけるプレゼンスも高めることが可能となる。

 

【日 産】

日産は子会社のメキシコ日産を通じて1961年から事業を開始し、メキシコに強固な基盤を築いている。1998年の日産のメキシコ国内の販売シェアは22%であり、同市場での第2位メーカーとなっている。1998年の生産台数は189,700台である。また、国内販売ネットワークには160のディーラーを擁している。日産はクエルナバカとアグアスカリエンテスに二つの車両組み立て工場を有するほか、アグアスカリエンテスにはパワートレイン工場(エンジン及びギアボックス)、レルマには鋳造工場も有している。クエルナバカ工場ではセントラ、ツル、ルキノ、ツバメ、及びピックアップを生産しており、メキシコとラテンアメリカ市場で販売している。アグアスカリエンテス工場では米国、カナダ市場向けの新型セントラとメキシコ、及び輸出市場向けのツルを生産している。

前述したRCIの子会社によって、日産の販売ネットワークを通じ、顧客向けのクレジット・サービスを提供することにより、日産は販売支援活動を充実させていく。

メキシコ日産では、ルノーの商品ラインナップから二つのフラッグシップ・モデル、即ち、1.6リッター16バルブエンジンを搭載したクリオと、2リッター16バルブエンジンを搭載したセニックを生産する。セニックは2001年からクエルナバカ工場で生産される。2002年にはクリオが、圧造や機械加工工程を有するアグアスカリエンテス工場において生産される。その後、日産は両社の協力によってもたらされる新しいモデルを生産し、販売する。この新モデルの投入により、日産は商品ラインナップを充実させ、メキシコ市場でのマーケットシェアをさらに拡大し、中南米市場でのプレゼンスも強化していく。

メキシコ日産におけるルノー車、及びルノーとの協力によるモデルの生産台数は2003年には約100,000台に達する。また、2000年から2010年までの期間の、この提携に関連する全てのモデルの生産台数は、日産向けが800,000台、ルノー向けが400,000台の合計1,200,000台になる見通しである。この提携による生産台数の上積みは、米国、カナダ市場向けセントラの生産拡大ともあいまって、メキシコ日産をほぼフル稼動に導くこととなる。これと合わせてルノーとの共同購買やバック・オフィスの共用化によるコスト効果は、メキシコにおける日産の事業の収益性向上に大きく貢献することとなる。

この事業協力におけるルノー、日産両社の投資額合計は、1999年から2006年までの期間で4億USドルを予定している。

以 上

* 本件、メキシコシティにおいて現地時間12月9日に同時発表されたものです。